「A Psalm of Life 人生の詩篇」第3連によせて 今日よりは一層進んだ自分を発見

理系女子(リケジョ)の化学変化 ―他人とのコミュニケーションが苦手だった女子大生の変化―

私は、仙台にある国立大学の、大学院の工学研究科で学んでいる2年生です。

下水汚泥を燃やして水素を作る研究があり、私はその中で、反応機構の調査をしていて、化学反応の起こり方を調べています。プラスチックや生ゴミからも同じように、燃やして水素を取り出すことができるので、それらのごみを全部まとめて焼却して、あわよくばそこからエネルギーを取り出せたら、と企んでいます。

いろいろな装置が並ぶ実験室で、一人黙々と研究に打ち込む井上彩織さん

行ってみようかな

私は新潟県の上越市で、聖書の信仰をもつ家庭に育ちました。

大学生になり、仙台で独り暮らしをするようになってからは、人生に行き詰まらないと自分に信仰は必要ないだろうな、と思っていました。

大学2年のお正月に帰省した時、父が、「聖書の国イスラエルはいいよ」と、自分が体験したイスラエル留学の話をしてくれました。それまでそういう思いは全くなかったのですが、その時突然、行こうかな、という気になったんです。

大学生活は楽なほうばかりに流されていて、2年生の最後は半分ぐらい単位を落としてしまいました。ほんとうにひどい生活で、自己中心的になっていました。

中学、高校時代は、暗くて友達も少なく、コミュニケーション能力が低くて、1日に2~3人としか話さないこともあるほど閉鎖的でした。大学生になって、少しは開けてきたけれど、それでも会話が続かない……。思考もあちこち飛んでいて、たぶん、話の通じない人、みたいに見られていたんじゃないかと、うすうす思っているのです。

このままじゃいけない、イスラエルに留学したら変われるんじゃないかな、という漠然とした期待感から、留学を希望しました。

それまで日曜集会に出ても、祈って嬉しかった、といったことは全然なかったんです。そんな私でしたから、キリストの幕屋が送り出しているイスラエル留学に参加するために、東京で1カ月の研修期間を過ごしましたが、信仰を求める心があるのかを問われました。

でも、初めて東京の集会に出た時、賛美歌のピアノ伴奏に感動して、祈ったら涙が出てきました。

人の思いがわかるように

イスラエルに着いたら、滞在先の村の人は皆、とても明るくて、言語の壁はありましたが、海外というカルチャーショックはあまりなかったです。それより、一緒に留学した幕屋の女子青年たちに接して、大きな溝を感じました。

たとえば、聖書の信仰婦人としても日本の女性としても、「仕えることが喜び」というのが理想の姿といって、それを実践しようとしている。でも私としては、きっとそうあるべきなんだろうけれど、ちょっと自分には遠い存在だし、その思考回路も全然理解できない。

井上さんが滞在した村付近の田園風景
(イスラエル北部・エズレル平原)

ある時、お世話になっている村の方々に感謝をしようと、皆でヘブライ語劇をしました。私は、なぜかヒロインをやることになってしまったのですが、イスラエルの皆さんが、とてもよかったと喜んでくださいました。

その時に、これは自分がやったことじゃなくて、同じグループの皆が、寝ずにあれこれ準備してくれたり、衣装を着せて髪をセットしてくれたり、演技指導をしてくれたからなんだ、ということがすごく迫ってきました。嬉しいというより、何かショックでした。

新年を迎える特別な集会がありました。私は、それまで他の国から来た学生と遊んでいたりして、留学生活が真剣じゃなかった、このままでは変われないんじゃないかと、必死な思いで臨みました。

その集会では、幕屋の留学生たちが神様の御前に心の思いを熱く語る姿に、心を焦がしたというか、自分もかくありたいと思いました。輝いて見えたんですね。私は必死な思いで聞いて、ひたすらメモして、祈って祈って過ごしました。

その会から帰ってきたら突然、一緒に留学している女子青年たちに心を寄せることができるようになっていました。魂の目が開かれたというか、人が願っていることや、私にかけてくださっている思いがわかるようになったのです。

以前は、ほんとうに自分のことしかわからなくて、周りの人に興味すらなかった。それがあの時から、自分の見える範囲が広がったんだと思います。

村の人たちとの交流会(井上さんは左手前)

私、輝いている!

留学から帰っても、日々のいろんなことを通して成長できていることがほんとうに嬉しいです。幕屋の人たちが大事にしていることって、こういうことだったんだと、少しずつわかってきました。

仙台幕屋の若人で集まりをした時、お好み焼きを作るのでも、あっちの手伝いをし、こっちの手伝いもする。翌日の朝ごはんの準備をしていても、周りのみんなが喜ぶことをするのが、すごく嬉しくて。今までにないぐらい、自分は輝いているな、と思いました。

地元の仙台幕屋で集会後にお茶を配る井上さん。
水曜の夜には聖書と賛美歌集を持って集まり、
皆で語り合い、祈っています

大学でも、以前は知っている人の輪にもなかなか入れなかったのが、どんどん新しいところに飛び込んで入っていけるようになり、文字どおり生活できる世界が広がりました。どんどん新しい世界、新しい喜びを知っていくのが嬉しくてしかたがなかったです。

留学の直前はCやDという評定ばかりで、いくつも単位を落としてしまいました。でも、帰国後の3年生最後のテストでは、これまでの人生でこんなに努力したことはないというぐらい、祈りながら必死に勉強しました。そうしたら、1つの科目だけBで、他は全部、AAかAを取れました。

祈って嬉しくて、希望に満ち溢れると、集中力が湧き、無い知恵も浮かんできて、テストでも不思議が起きる。心から熱く祈らないと本当の祝福は得られないんだな、と感じています。

これからの目標としていちばんなりたい姿は、もっともっと愛の湧く、周囲に愛を注いでいく存在です。以前が相当、愛のない人間だったので。

同年代の幕屋の友達でも、もっともっと愛に溢れている人がいるのを見て、やっぱり自分はまだまだだな、と思いつつも、研究室でも、どこにあっても、愛していく側の存在になりたいなって、ずっと思っています。

井上彩織さん(25歳)

趣味 クラシック音楽を聴きながらのジョギング
好きな食べ物 友と熱く語り合いながらの食事なら、何でもおいしい!
ひと言 もっと嬉しい人生になるため、今戦うんです!

彩織ちゃん イスラエル留学ってなに?

何で、イスラエルに留学するの?

イスラエルは、聖書の舞台で、イエスさまが歩まれた聖地だからだよ!

何を勉強するの? 私は英語が苦手だけど、普段の生活では何語で話すの?

勉強するのは、旧約聖書の言葉、ヘブライ語だよ。生活でもヘブライ語を使うから、英語はあまり使わないよ。

ヘブライ語? 難しそう…

大丈夫!! 私たちが生活する村の人はとても親切で、留学生と家族のように接してくれるから、言葉もすぐに覚えられるよ!

そうなんだ~。ヘブライ語の劇をしたりもするんでしょ?

そう、幕屋の留学生がお世話になってる村とは、60年以上続く、きずながあるの!

だからこの村の人を楽しませるために劇をしたり、子供とよく遊んだりもしたよ
(^^♪

へぇ、普段の生活とか休日は?

平日の午前中は勉強、午後は仕事。たとえば村の植物の手入れや幼稚園のお手伝いとか。休日は、友達とイスラエル国内の聖書の舞台を旅行したよ。

旅行も!? いいな〜! 私も行ってみたくなってきた♪



本記事は、月刊誌『生命の光』特別号 “Light of Life” に掲載されています。

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