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 一人の聖書学者がイエスに尋ねた、「どの掟が、すべてのうちで第一ですか」。イエスは答えられた、「第一はこれである。“聞け、イスラエルよ、われわれの神なる主は、ただ一人の主である。心の限り、精神の限り、思いの限り、力の限り、あなたの神なる主を愛せよ”」
(マルコ伝12章29節 塚本訳聖書)

 戦後の日本は精神的にスッカリ荒れすたれてしまいまして、凶悪な犯罪が、日々あい次いで起こり、世の人情も紙のように薄く、また冷たくなりました。この精神的な荒廃から日本が立ち直るために、最も大切なことは、何よりも宗教の力が復興することだと存じます。それには、人類がもつ最も古い不朽な聖典であるバイブル、この66巻を通して宗教心を培うことこそ、第一だと思います。

 私は、12歳の時にキリストを知って以来、信仰生活50年、この聖書の神に導かれ、この神によって幾たびか人生の危機を乗り過ごしてまいりました。この50年間、私を贖い、教え、諭し、導き、愛したもうたキリストの神について語るならば、どれだけお話ししつづけても、しつづけても、尽きることのない話題を、私はもっております。

 キリストは「心の限り、精神の限り、思いの限り、力の限り、あなたの神、主を愛せよ」と言われました。私は自分の神、主キリスト以外に他に神を知りません。ただ、夢中になって私の神、主キリストを愛しまつっている者であります。

 昔、中国の宋の時代に、無門禅師は、

「他の弓を挽(ひ)くなかれ。他の馬に騎(の)るなかれ。他の非を弁ずるなかれ。他の事を知るなかれ」

と宗教の心得を説きましたが、私も他の神を知りません。他の宗教の非を弁じたてたり、他の教派の弓を用いたり、他のキリスト教の尻馬に乗ったり、いたしたくありません。

 「宗教だけは、他の借り物では役に立たぬ」と、賀川豊彦先生も言われましたが、キリスト・イエスも、「おまえの神、主を、ただ愛せよ」と言われたのであります。

(1972年)