この講話(1969年)は新約聖書コロサイ書を通し、キリストによって人間が新しくされ、時代悪にいかに対抗してゆくかを説いています。現代に訴えるものとして、年頭に当たり掲載いたします。

 人類は今や最も輝かしい物質文明の世紀を迎え、宇宙旅行まで計画するに至りました。人間はまるで自身を被造物中の冠絶せる最高存在であるかのように考え、そう自負しています。

 たしかに月や火星、木星ヘロケットを飛ばす、この人間的な成果、また努力を素晴らしいものとは思いますが、しかし、あまりに今の時代は人間的な時代ではないかと、私は思います。何が人類をかくも急激に輝かしく発達せしめたのか。それは他の動物に比して、人間が著しい知性——心をもっているからですが、それにしても、あまりにも人間が賛美される時代です。

皆がこの人間の目覚ましい成果に目を奪われている時、私は1人、新約聖書コロサイ書のパウロの言葉などを読みつつ、しみじみと背後にあるキリストのご努力というものを思わされます。

コロサイ書:新約聖書中の、使徒パウロにより書かれた手紙の1つ。小アジア(現在のトルコ)中西部の町コロサイの信徒に送られたもの。集団内での異端の問題に直面した信徒たちを諭し、励ましつつ、家庭や社会における信仰者の生き方を教えている。

(1969年)

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