賛美が口に溢れるまでに

 そして、なおもう1つの秘訣があります。

わたしの口はひねもす、あなたをたたえるさんびと、
頌栄(しょうえい)とをもって満たされています。
(8節)

 口の中から賛美と喜び、頌栄(神を賛え、栄光を神に帰する歌)が湧いてたまらない。このような経験のない人の信仰はカスカスですね。しかし、思わず賛美と祈りが溢れ、涙が出て止まらぬというような人の信仰は、ぐんぐん魂を成長せしめてゆくということです。

 ユダヤ教は長い間、戒律を守ることが中心的な教えとなっていましたが、18世紀の中頃から、再び宗教的な生命を回復しだしました。それは1人、バール・シェム・トブという無名で無学な人物が現れたからです。彼は後に、ハシディズムと呼ばれるユダヤ教の信仰復興運動の祖となりました。

バール・シェム・トブ
(1698~1760年)

 彼はある時、神の霊感に触れてからというもの、日ごと夜ごと終日(ひねもす)、祈って賛美してやまない人間となった。このように神の霊を、宇宙の生命を湧かすような人間が1人出ることによって、宗教が始まるのです。彼によって起こされた宗教は、難しい理屈ではなく、躍り上がってやまない、燃えるような喜び、ヒトラハブート(ヘブライ語で「灼熱の歓喜」の意)に満ちたものでした。

 先日、ある伝道者が来て、「どうしたら伝道は成功するでしょうか」と問いました。「私もそれは知らぬ。テクニックじゃない。誰か、心の奥底から神への賛美と頌栄を湧かす人が出てこない限り、だめなんだ」と答えたことでした。

 バール・シェム・トブはそのような賛美を湧かす人でした。彼が神秘な霊感に満ちたら、奇跡は彼の周囲に、随所に起こりはじめた。ただ一個の人間にとどまらない。彼のもつ霊的雰囲気というものが次から次へと人々に及んで、あの人もこの人も、小なりといえども、彼に似た神秘な信仰をもちだし、不思議なよき業を行なうようになった。

 私は、理屈の多い現代のキリスト教において、どうしてもこのことが必要だと思うのです。

(1967年)

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