天を畏れる心をもって

 昨日は9月1日、大正12年(1923年)の同じ日、午前11時58分に関東大震災が起きました。それから50年というから、早いものです。その時、東京の中心部はほんとうに焼けただれてしまいました。都心の丸の内方面にあった堅固な建物もガタガタに崩れた。また、下町の被服廠跡には炎の竜巻が起き、避難してきていた何万もの人が焼死しました。

 当時、学校の先生から聞きました、「日本は明治・大正年間、日露戦争、第1次大戦を通して発展してきた。だがその後、国民が精神的に堕落したから、天譴(てんけん)、天の制裁が日本に下ったのだ」と。そういう考え方に対してある雑誌では、「バカなことを言うもんじゃない。地が揺れたのであって、天が裁くなどということがあるものか」と言っておりました。しかし、それは地上の出来事を見て、天上のことを翻訳し、天がなぜ怒ったかということを感じないからです。

 その頃の政治はまだよかったですね。同じ年の11月、宮中から「国民精神作興に関する詔書」が下った。「朕惟(おも)うに国家興隆の本(もと)は国民精神の剛健に在り」という出だしで、国家が興隆する基は国民の精神が質実剛健であることだ。しかし今、華美に流れ、道徳が廃れている状況を見ると、これではいけない。公徳心や勤勉、博愛の心を養わねばならない、という内容でした。

 この震災の後、東京は新たな町として首都らしく復興されました。また、この震災の時、内村鑑三先生の弟子で、無教会の私の師である塚本虎二先生は奥様を失った。けれども、そのことを通して伝道者として召命されたのです。

(1973年)

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