今日から読むヨハネ伝6章では、キリストは「わが肉を食らえ、わたしは生命のパンである」ということを強調されます。極端な表現のしかたですが、こう言われて神の生命を領する者になるように、と勧められています。それは抽象的な神学論ではなくして、実際に神に養われる生涯を経験しなければならぬ、ということを教えているのです。

 そののち、イエスはガリラヤの海、すなわち、テベリヤ湖の向こう岸へ渡られた。すると、大ぜいの群衆がイエスについてきた。病人たちになさっていたしるしを見たからである。イエスは山に登って、弟子たちと一緒にそこで座につかれた。
(ヨハネ伝6章1~3節)

 「ガリラヤの海」は、イスラエルの北部にある湖のことです。紀元1世紀の初めにこの地方を治めたヘロデ・アンティパスという領主が、この湖のほとりに領地の首府を建て、ティベリウスという皇帝の名にちなんで、ティベリアと名づけました。それで「テベリヤ湖」とも書かれています。

ガリラヤ湖周辺の地図

 「湖の向こう岸へ渡られた」とあるが、ルカ伝を読みますと、そこはガリラヤ湖北方のベツサイダという所だということがわかります。そこへ大勢の群衆がイエスについてきた。それはエルサレムで、38年間、体が動かなかった者が歩きはじめるような奇跡がなされたのを見て、驚いたからです(ヨハネ伝5章2~9節)。

 しかし、奇跡を見てやって来るような信者は、あまり感心しません。奇跡に与(あずか)りたいといっても、それは目に見えない神に依り頼む心とは別です。それで、キリストはその群衆から離れようとして、弟子たちだけを連れてもっと高い山に登り、そこに座られました。

(1973年)