ヨハネ伝は1章18節までが序説になっており、19節から本論というべき内容に入ります。まず、イエス・キリストより前に世に現れた洗礼者ヨハネのことが書かれています。

 さて、ユダヤ人たちが、エルサレムから祭司たちやレビ人たちをヨハネのもとにつかわして、「あなたはどなたですか」と問わせたが、その時ヨハネが立てたあかしは、こうであった。
(ヨハネ伝1章19節)

 ここに「ヨハネが立てたあかし」とあります。人間それぞれ、使命をもって地上に生まれてきています。一人ひとりに違う使命があればこそ、その存在理由があります。洗礼者ヨハネは、「神から遣わされて……あかしのために来た」(1章6、7節)とあるように、イエス・キリストについて証しをすることこそ、彼の使命でした。

 宗教的にはイエスの先輩であり、年上の親族であったヨハネが、イエスを指して「見よ、世の罪を取り除く神の小羊。私の後に来るかたは、私よりも優れたかたである。私よりも先におられたからである」(29、30節)と証しすることは、人々にとって狂人の寝言としか思えなかったでしょう。それでも、「このかたがイスラエルに現れてくださるそのことのために、私は来た」(31節)と、自分の使命はキリストを証しすることにある、と言うヨハネは、まことに偉大な宗教人であり、新約聖書における最初の証し人でした。

(1972年)