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浦田 重勝

 トラックの長距離運転の仕事をしていた若いとき、ぼくは、競輪、競馬、ボートレースといったギャンブルにのめりこんでいました。そんなぼくを見かねて母が、家に帰ってこいと言いました。

 実家に帰って、500頭もいる豚の世話をしました。小さい豚はかわいいけれど、大きくなると憎たらしいんです。大きな図体の豚が寝てしまうと掃除ができないから足でけとばす。すると豚も怒って突進してくるわけです。ボーンと突き飛ばされて、糞の中にひっくり返ったこともありました。するともう怒り心頭で、スコップやフォークでたたくものだから、ぼくが豚舎に入ってゆくだけで、500頭の豚がブーブー鼻息荒く騒ぎだして、こっちに突進してくるんです。

 暑くなると豚舎はひどい悪臭がします。不満がたまってきました。急に食欲がなくなって体重が46キロまで落ち、夜も眠れない。ついに胃潰瘍になりました。将来に何の希望もなく、絶望感のあまり命を絶とうとしました。そんなときに、熊本の山鹿でパン屋をしておられた酒井烋也(きゅうや)さんに出会ったんです。

(2014年)