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退職記念講演会にて

沢田 治雄
(東京大学名誉教授)
聞き手:長原 眞

長原眞 沢田さんは、昨年(2014年)、東京大学教授を退任されるにあたり、「見えない光で地球を観る」という題で記念講演をなさいました。その研究について、私たち素人にもわかるように解説していただけませんか。

沢田治雄 私の専門はリモート・センシング(遠隔探査)といいまして、人工衛星や航空機を利用して森林などの地球環境の変動を観測する研究です。

 私は数学者になりたかったのですが、東京大学2年生で理科Ⅱ類から専門課程の選択をするころに、数学への熱が冷めて、生命あるものを扱いたいと思うようになりました。そのときに出合ったのが、一つの新聞記事でした。「眼に見えない光で植物の健康度がわかる」という記事です。これは面白い、と飛びついて入ったところが、農学部の林学科だったのです。

 私が大学に入った年に、アメリカで地球観測衛星の「ランドサット」が打ち上げられ、日本にもデータが入るようになりましたので、すぐにリモート・センシングの研究をやりはじめました。それは、日本で初めてのことでしたから、研究が楽しくて、いくらやっても疲れなかったですね。

 けれども当時、日本の技術は遅れていて、政府がアメリカへ留学生を送っていました。幸い私もNASA(米航空宇宙局)と関係のあるカリフォルニア大学のサンタバーバラ校に留学が決まりました。

(2015年)