内藤 大吾

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 数年前、私は旅に出た。2カ月かけて、北米大陸を陸路のみで回った。日系カナダ人二世である私はこの地で生を享け、カナダ人として育てられた。今や私のような移民の子が人口の大半を占めているが、奉仕の心で世界に仕えるというカナダの理想と理念に、私たちは誇りを抱きながら育った。

 しかしカナダは、最初から今のように寛大ではなかった。学校の授業では何度も、第二次世界大戦前後にあった激しい人種差別の歴史を学んだ。その中で最も苦しめられたのが日系人であり、カナダとアメリカでは、戦争が始まると家も船も財産もすべて奪われ、強制収容所に入れられたことも、社会科の教科書や国語の必読図書などで読まされた。

 何が国を変えたのか。カナダやアメリカが今の姿に至ったのには、自国から迫害を受けながらもなお、自国のために戦った日系兵士の姿がある。私はどのような戦いと犠牲の上に生かされているのかを知るために、その足跡をこの旅の中でたどった。

(2015年)