子供のころ毎年、サンタクロースは、
わが家には来なかった。

「くつした、おいて寝てみようか」
クリスマスイブの晩、
妹と私は、枕もとにくつしたをおいた。
次の朝、くつしたに入っていたのは、
ヤクルトの容器に、
毛糸を編んでかぶせた人形だった。
私はちっとも喜ばなかった。

あの晩、母は明け方までその人形を作っていたと、
姉たちに聞いたのは、後になってからのことだ。
あれから何十年もたつけれど、
あの人形が心の隅にちょこんと立っている。

文:町山 峰子
絵:ほり はつき