小久保 乾門(そろもん)

 昨年(2014年)の春、幕屋の聖地巡礼団で、中東の国・ヨルダンを訪れた。各地をバスで巡りながら目についたのは、あちこちに建てられている無数のテントだった。

 聞くと、シリアの内戦から逃げ出した60万人を超える難民を、ヨルダンが受け入れているとのこと。実にヨルダンの総人口の一割近くに相当する数だ。一部は難民キャンプに住み、多数はヨルダン各地に散らばって、国際支援などで食いつないでいるのだという。

 アラブ穏健派のヨルダンは治安のいい国であるが、周辺諸国の混乱と殺戮の大波にのまれまいと、必死に持ちこたえているという印象を受けた。

 私たち一行は、ヨルダン川を挟んでイスラエルを眺めることのできるネボ山に登った。かつてモーセが、約束の地・カナンを望み見た場所である。イスラエルの山々を見つつ、カナン入りの戦いを前に、若きリーダー・ヨシュアとイスラエルの民が、どれほど強く神霊の加護を祈ったかが迫ってくる。私たちも激しく聖霊を求め、白熱した祈りを上げた。

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ネボ山から観るイスラエル

 私たちを案内していたのは、イスラム教徒の若いヨルダン人ガイドであった。ヨルダン王室と日本の皇室が深い友情で結ばれていることを、誇らしげに語ってくれる好青年である。祈りを終えて一同が喜びの抱擁をしている時、私は次の行程の打ち合わせをするためにガイドに駆け寄った。しかし、彼はすぐ仕事の話には入らず、しばし黙った後、こう話しかけてきた。

 「言葉にならない感動を受けました。あなたたちのような真実な、熱烈な祈りに、私は初めて触れました」

 そして、私に抱擁を求めてきた。

(2015年)