ikihiroko_tadata

夫とともに (2003年)

壱岐 弘子

 ずいぶん前、主人の古い友人が、ある詩を送ってくださいました。

 それはイギリスの詩人・ミルトンの『失明して』という英詩でした。40代で失明という試練に直面し、神様から賜った能力を活かすことができないことへのミルトンの煩悶がつづられています。そして最後に

ただ立って待つだけの身も
また主に仕え奉っている

とありました。

 詩を頂いたのは、主人が定年退職する少し前で、一休みしたらまだ動けると思っていた頃なので、主人も私も、その意味があまりわかりませんでした。けれども、主人が床につき、目だけしか動かすことができなくなった今、その心が少しわかるようになりました。

(2012年 長崎市在住)