|
その夜のこと。小さな悲鳴が聞こえました。
「助けてー!」
「アオの声だ」
ツッピィは、巣を飛び出しました。外は嵐。激しい雨に、風はゴウゴウと吹いています。
アオをポールにつないでいたヒモは、ついにちぎれてしまいました。小さなアオは、あっという間に嵐に連れていかれてしまいました。
「アオ! アオーッ!」
ツッピィは、飛びながらアオの姿を捜しました。遠くに、尾びれをばたつかせて風に乗ろうとしているアオが見えます。雨に濡れて青い体がまるで本物の鯉みたい。
その時です。
びゅーっと、突風が吹きました。
アオが天高く吹き上げられ、雷の稲光の中で青く輝く竜に変身したのです。
ドドドドドーッ
大きな音がとどろきました。嵐の中、竜がくねくねと体をよじらせて、向こうの山なみに向かって進んでいきます。
竜が体をよじらせる度に雷が光り、大きな音がとどろきました。何度も何度も。
信じられない、あの小さなアオが竜に・・・・・?
「そうだ!」
ツッピィは、わたるくんの家に向かって急ぎました。
「わたるくん、外を見て!」
ばーん、ばん! ばーん!
ツッピィが部屋の窓に体当たりを続けていると、ようやくわたるくんが目を覚ましました。
アオは、いいえ、竜は美しい山なみの上をゆうゆうと飛んでいます。
「竜だ! すごいぞ!」
わたるくんが叫ぶと、竜は大変な勢いでこちらに向かって飛んできたのです。
「うわぁー!」
竜は、わたるくんの体をみるみるうちに押し上げ、わたるくんを乗せて山また山を越えて、どこまでも飛びつづけました。
どこまでもどもまでも。
「神様ー、わたるくんの病気をなおしてくださあーい!」
竜になったアオのものすごい声が響いたかと思うと、真昼のような稲光が光りました。
バリバリバアーン!
雷の大音響と閃光の中で、わたるくんは気が遠くなっていきまいた。
|