原始福音
キリストの幕屋

童話

わたるの鯉のぼり

 
 
わたる君と鯉のぼり

 わたるくんは今日も、鯉のぼりを窓から見ています。
「ねえ、お父さん、鯉のぼりの歌の、
 『ももせのたきをのぼりなば たちまちりゅうになりぬべき』って、どういういみ?」
「鯉が滝を登ったら、竜になるという中国の伝説があるんだ。そんな勇気のある、元気な子供になれっていうことだよ」
「へえー。竜かあ」
 この会話を、アオも聞いていました。
(ふうん。それってすごいな。おいらも竜になりたいな)
それからわたるくんは、窓の外に向かって毎日言うようになりました。
「おーい、ちび鯉くーん、竜になってよー!
 ぼくも元気になるからさー」
 アオは返事をする代わりに、元気に尾びれを振りました。
 今日は5月5日。
 せっかくの子供の日なのに、わたるくんは熱を出してとてもしんどくなりました。お母さんが心配そうに看病しています。午後にはお医者さんも来ましたが、ちっともよくなりません。
 アオは一日じゅう、体がちぎれそうになるくらい、夢中で泳ぎました。
 (わたるくん、元気になって! 元気になって!
  神様、わたるくんを助けて・・・・・)
 アオの体をつなぐヒモは、今にもちぎれそうです。

 

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