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(ああ、王さまがこんなに苦しんでおられる)
ダビデは、もうこわいのを忘れていました。そして、ダビデの胸から、涙とともに熱い思いがあふれてきました。
「神さま! ぼくが王さまのために竪琴を弾けるように力をください。心を込めて奏でますから、王さまを助けてください」
ダビデは王さまの前にすわると、竪琴を弾きはじめました。
ポロローン
ポロローン ポロポロローン……
大きな音ではありませんが、ふしぎと心の中に波のように広がってくる響きがあります。その音は部屋の空気を震わせ、テーブルの上の銀の杯やお皿を、ブーンと小さく響かせます。
最初の曲は、らくだの隊商が夜明けの砂漠を旅していくような、ゆっくりした曲でした。
ダビデはそっと王さまのほうを見ましたが、ぴくりともしません。
次に、春の草原を小川が流れるような曲、続いて、小鳥が木陰でやさしくさえずっているような曲、麦の穂を鳴らして渡る風のような曲など、今までダビデが自分で作った曲を、次々と弾きつづけます。
それでも王さまは、死んだように動きません。
(神さま、どうぞ、王さまの心を開いてください)
そうダビデはささやくと、琴糸に耳を近づけ、静かに天を仰ぎました。そして、小さく奏でながら、祈るようにして歌いはじめました。
「主よ、あなたは私の羊飼い、
私には乏しいことがありません。
あなたは私をみどりの牧場に伏させ、
憩いのみぎわに伴いゆかれます。
主は私の死んだような魂を生き返らせ、
御名によって救いの道に導かれます。
たとい死の陰の谷を行くときも、
わざわいを恐れません。
あなたが私と共におられるからです……」
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