原始福音
キリストの幕屋

絵物語

板壁の浄土

 


 長継が旅から帰ってくると、真っ先に善恵の庵に立ち寄りました。宝の玉を縫い込んだものの、善恵の身が心配だったのです。
  いそいで庵をのぞきこむと、はっと息を呑みました。庵の古ぼけた板壁に描かれた仏たちが、まるでそこに立っているかのように、輝きを放っていたのです。長継はひれふし、涙を流しました。
  絵のかたわらには、こう書かれていました。

 
どうかゆくえをあんじてくれるな
請 故 友 勿 案 逝 道
またひとのこころにほとけをかくわい
復 取 筆 破 衆 生 妄
ころものなかのたからもありがたいが
但 謝 衣 裏 縫 珠 恩
こころのたからはもっとありがたい
不 知 荘 厳 吾 衷 蔵
 
 

 文・寺島 よしお / 絵・ばば のりこ
 (法華経のお話をもとに創作しました)

 

おしまい