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ところがその時、庵に向かってひたひた歩いてくる音がします。
そういえば、近ごろこのあたりに、食いあぐねて盗みを働く者が出るといううわさ。
善恵の体が、ぶるっと震えました。
とつぜん、月を背に一人の男が立ちました。
「その玉を渡せ!」
野太い声が響きました。善恵はひるみましたが、しずかに答えました。
「この玉は、わしの友よりもらった大事な宝。こちらから渡すわけにはゆかぬ。おまえがわしの命を取ろうというなら取るがよい」
善恵は宝玉を握りしめました。
「ならば、きさまの命もろとも頂こう」
盗賊は刀を抜きました。月明かりに刃が、ぎらりと光ります。善恵は目を閉じました。
男が刀を振り上げたその時、善恵は急に男を振り向きました。
「待て、その刀を振り下ろす前に聞きたいことがある。おまえは浄土を見とうはないか」
「なに、じょうど、だと」
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