原始福音
キリストの幕屋

絵物語

板壁の浄土

 

板壁の浄土 挿絵1

 むかしむかし東の国に、善恵(ぜんけい)という絵仏師がおりました。絵仏師というのは、仏さまを描くお坊さんのことです。
 善恵は、多摩川のほとり、狛江の里の小さな庵に住んでいましたが、毎日、絵も描かず、昼間から寝そべっています。食べ物もろくになくて、こじきのようなくらしでした。
 もともとは、都でも有名なお寺で絵を描くほどの腕前でしたが、修行のため国々を旅して帰ってきたら、ぜんぜん筆を取らず、なまけてばかり。
 ある日ついに師匠におこられ、お寺を追い出された善恵は、方々さまよったあげく、この地に住みついたのでした。