原始福音
キリストの幕屋

童話

さよなら カタカタ押し車

 

 幼稚園に着くと、先生やお友だちが集まってきました。仲良しのケンちゃんが、押し車のふたをあけました。そこには、大きな石が五つ入っていました。
「ふゆくん、どうしてここに石が入っているの?」
「それはおもりだよ。これがないとボク、ひっくりかえっちゃうんだ」
「へえ、じゃあさ、石じゃなくてオモチャを入れたら?」

 ふゆくんもみんなも、笑いました。

 お母さんは、仲良しのみんなのようすを、うれしそうにみつめていました。そして、いま来た道を歩きながら言いました。
「神様、どうか、この道をふゆくんと手をつないで歩けますように……」

 カタカタ、カタカタ……。

 雨の日も風の日も、押し車の音は聞こえていました。

 5月。こいのぼりが空高く泳ぐころ、ふゆくんの足は、ちょっとだけ強くなりました。お母さんは、そっと押し車の石を、一つ減らしました。

 6月。あじさいの花が咲くころ、押し車の石は、また一つ少なくなっていました。

 7月。ふゆくんは七夕さまにお願いしました。 「大きくなったら、昆虫のはかせになれますように」。そして、 「走れるようになりますように」

 押し車の石は、残り一つになっていました。

 

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