原始福音
キリストの幕屋

絵物語

エルトゥールル号の遭難

 


 村の男たちは泣いた。遠い外国から来て、日本で死んでいく。男たちは胸が張っ裂けそうになった。
 「一人でも多く救ってあげたい」
しかし、大多数は動かなかった。一人の男が叫ぶ。
 「息があるぞ!」
だが触ってみると、ほとんど体温を感じない。村の男たちは、自分たちも裸になって、乗組員を抱き起こした。自分の体温で彼らを温めはじめた。
 「死ぬな!」
 「元気を出せ!」
 「生きるんだ!」
村の男たちは、我を忘れて温めていた。次々に乗組員の意識がもどった。船に乗っていた人は六百人余り。そして、助かった人は六十九名。この船の名はエルトゥールル号である。