米川夫妻
稲田堤駅(神奈川県川崎市)のすぐ側で、一昨年暮れに開店した和菓子店「八千代」。この店が地域の人々の評判になっていると聞いて、訪ねてみました。
「さあ、食べてみて!」と言って、さっそく出してくださったのが、評判の大島饅頭。黒糖の皮の饅頭を半分に割ってみると、中から白いあんこが。
「これ白い小豆で作ったあんこなんです。めずらしいでしょう。でもこれがおいしいんだよ」と。甘党の私は遠慮せずにパクリ。
「うーん、おいしい!」と、思わず唸ってしまいました。
ご主人の米川さんは75歳、奥さんは70歳のシルバー夫婦。
30年前、名古屋でやっていた和菓子店を閉めて、信仰で新たな歩みを始めるために東京に出てきたご夫婦は、永年、衣料品の移動販売をしてこられました。
数年前、いつも買っていただくお礼にと、ご主人が饅頭を作ってお得意さんに差し上げたら、
「これはおいしい!」と大評判に。それが、口コミでどんどん広まっていったのです。
ご主人、曰く、
「食べてくださった方々が、『この饅頭は生きてる。感動しました!』とか、『この饅頭を頂いたら心が安らぎました』と言って、すごく喜んでくださったんです。嬉しかったですね。
そのとき、おいしいものを心を込めて作っていれば大丈夫、売れる、という確信を得たんです」と。
安い中国製品などに押され、衣料品がだんだん売れなくなってきた頃だったこともあり、ご夫婦は新出発を決意されました。
地域の憩いの場
ご主人 お店を出すといっても、お金がない。この年ですから、銀行も貸してくれませんしね。
ところが、衣料品販売の頃からのお客さんが、『儲かったら返してくれればいいよ』と言って出資してくださったんです。
この辺りはチェーン店ばかりで、店に行っても人との繋がりが少ない。それで、私たちのような老夫婦が個人商店を開いていると、喜んでくださるんです。
お客さんが晩ご飯を運んでくださったり、店の花が枯れると花を持ってきてくださったりするんです。まるで自分の店のように感じておられ、「末永くやってくださいね」って励ましてくださいます。
奥さん たまにしか買い物に出られないおばあちゃんがいて、出かける日は、まずここに来ておはぎを食べるんです。そして、「これで元
気になった」と言って、それからひとしきりおしゃべりをする。そのときに、私たちも信仰の証しをするんです。そうすると喜んで帰っていかれるんですよ。
若いお母さんも、赤ちゃんが生まれたと言って、赤ちゃんを見せに来るしね。ここは憩いの場、安らぎの場になっていますね。
ご主人 家内はおしゃべりが好きだから、一緒に座って一時間でもしゃべっているんですよ。
やがて、ここでそういう人たちと一緒に、『生命の光』の読書会とか、家庭集会を開きたいというのが私たちの夢です。
大事なのは中身
奥さん 実は主人は6年前、仕事中に意識不明で倒れたんです。それから半年ほど、寝たり起きたりの生活でした。その主人がこんなに元気に変わったんです。
最近は、エネルギーが湧いて湧いて。「最善はこれからだ!」って張り切っているのを見ると、ほんとうに驚きですね。
ご主人 祈って聖霊に満たされると、力が湧いてくるんです。同年代の同業者仲間が皆辞めていく中、
「米ちゃん、今から商売やるのか。その闘魂、行動力、これは驚異だよ」と驚いているんです。
でも、私には行動力もなければ、闘魂もない。全部神様が与えてくださるんです。もう100パーセント、これは聖霊の力。私はただ動いたにすぎないんです。
昔、和菓子屋で成功した時は、どこかに、俺がやったんだという気持ちがありました。でも今は私には神様しかないんです。貴神の御心がこの店を通して成りますように、という思いしかないですね。
若い時は、和菓子を作るのに外側の形ばかり追い求めていました。でも大事なのは形でなくて、中身のあんこですね。
それに、全部機械で作っていましたけど、今は自分であんこを炊いているんです。すると煮え具合が心に響いてくるんですね。これが機械だと、あんこと自分の心が通じないんですね。お金がなくて機械が買えないんですけど、かえってそのほうがいいんです。
| 信仰も饅頭と同じで、中身が大事。肝心の祈りを忘れていては信仰生活が進まない。神様と自分との会話が祈りですね。祈って聖霊が魂の内側に入ってきて初めて、闘魂が、チャレンジ精神が湧き、愛が湧くわけです。それが毎日の行動になっていくんですね。 |
アブラハムが神様の御告げを受けて、出ていく先を知らずして、ハランを出ていったときが七十五歳なんです。私も、人生最後の馳せ場を闘魂で走り抜き、若い人たちにこの信仰を繋げていきたいですね。
(きき手 藤井)
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